本書の使い方

仕事を進め方のポイントを早いうちに自覚しておくと、それだけ成長のスピードも早くなります。自分は要領が悪いとか、センスがないとあきらめてしまう前に、本書を通じて「ちゃんと仕事を進めるとはどういうことか」について、より具体的な言葉でポイントを理解してください。

具体的なポイントを言葉にできるようになると、自分の仕事のやり方や学び方のクセや、見落としがちな点に気づくことができます。気づくことができると、日々の仕事の中で、自分の力で少しずつ修正できるようになります。それが先述の「1年1年を着実に積み重ねられる人」になるための、第一歩です。

経験が浅いうちは自分一人で学べることには限度があります。だからといって、あなたの上司や先輩はいつも手取り足取り教えてくれるわけではないでしょう。学び方がわかると「周囲の人からの支援の引き出し方」も上手になります。

本書の使い方を以下にまとめましたので参考にしてください。

1. ざっと一読する

もちろん、一読しただけで全てのことを直ちに実行できるわけではありません。ですが、一読すると「フックがかかる」ようになります。

フックがかかるとは、仕事をしている中で色々なことに「気づきやすくなる」という意味です。ちょっとつまずいた時、進め方で困った時に、「そういえば、この本に似たような状況の話が書いてあったな」と思い出すことができます。

2. つまずいた時に読み直し、ちょっと試してみる

仕事をしている中で気づくことがあったら、該当するトピックを改めて読み直してみましょう。そして、「次にやる時には、まず◯◯を明確にしてみよう」「次にやる時には、◯◯◯という言い方で質問してみよう」というように、自分の言動(発言や行動)を少し変えてみることにチャレンジしてみましょう。

はじめからスマートに、ミス無く、うまく仕事を進められる人はいません。ほんとうにちょっとした事、たとえば、

・仕事の進み具合の報告の仕方

・改善点を先輩に指摘してもらう時のお願いの仕方

・先輩と一緒に仕事をする時の観察の仕方

このような小さなことを日々バージョンアップさせていくことで、あなたの仕事の進め方は確実に良いものになっていきます。

本書には、表現例や行動例がたくさん掲載されています。その通りにやれと強制するものではありません。一緒に掲載されている本質的な考え方やポイントを理解していれば、どんどん自分なりのアレンジを加えて構いません。

3. 注意された時に読み直す

上司や先輩から「仕事の基本ができていない」「そういう姿勢でいるから、失敗するのだよ」と注意されることがあるかもしれません。

もしかしたらあなたは、「基本って、何だよ!」「姿勢って言われても、具体的にどうすればいいかわからないよ」
と思うかもしれません。そういう時に本書を読み直してみてください。なぜかというと、あなたの上司や先輩は、あなたに伝えたいことについて、いつも十分に言語化できるとは限らないからです。

上司や先輩は、良かれと思ってあなたに注意をします。しかし、自分にとっては当たり前のことでも、それが出来ない人に対してわかりやすく説明するのは、たいへん難しいことなのです。

いつまでも「姿勢」や「ちゃんと」や「PDCA」という抽象的な言葉で理解が止まってしまい、具体的な行動に移すことができないと、注意した側も、あなた自身も、お互いストレスがたまるだけです。

だから本書を作りました。言語化しにくいことを、できるだけ言語化しています。注意されたら、思い当たるトピックを読み直してみましょう。そして読み返した後に
「先ほど注意していただいた件ですが、私は◯◯の確認が抜けていたという理解で合っていますか?」などと上司や先輩に確認してみてはいかがでしょうか。

万が一、あなたの想定が間違っていたとしても「自分で反省点を考えてみた」ということ自体は十分に相手に伝わります。それは注意をした側にとって、とてもうれしい事です。

・本ページは、書籍「詳解 仕事の進め方 」の内容の一部を限定公開しているページです。他の公開中のトピックは「目次」から確認してください。

詳解 仕事の進め方
“ちゃんと”だけではわからない「準備」「実行」「振り返り」
A5判 133ページ ¥1,650(税別)